Vol. 13 「世界のトップ人材のレベルははるかに高い。だからこそ世界と闘っていくためには、野心と向上心を持とう」

CATEGORY : 民間企業
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フォースバレー・コンシェルジュ株式会社
代表取締役
柴崎洋平

1975年生まれ。上智大学 外国語学部 英語学科卒業。大学卒業後は、ソニー(株)、ソニー・コンピュータエンタテインメントに勤務。2007年9月に円満退社し、同年11月、フォースバレー・コンシェルジュ株式会社を設立、代表取締役に就任。

【2012年3月5日公開】

常に新しいこと、わくわくできることをやるのが面白い

どのような学生時代を送られていましたか。海外を意識し始めたきっかけは何ですか。
大学時代は、午後の3時から夜遅くまでアメリカンフットボールばかりやっていました。昼間もあまり授業に出ないで、留学生との交流サークルを立ち上げました。国際的なイメージを抱いて上智大学に入ったのですが、当時はキャンパス内にほとんど日本人しかいなかったんですよ。市ヶ谷キャンパスには留学生はたくさんいたのですが、彼らともっと交流しないとこの大学に入った意味がないぞと思って、行ったり来たりで毎日留学生とランチを食べて過ごしていました。アメフトの練習にオフがあると、留学生と一緒に旅行にも行きましたね。いつ頃から海外を意識し始めたのかと言いますと、幼少時代はイギリスで過ごしたんですね。その時代があったからでしょうね。自分の中で将来は世界を舞台に活躍したいなという思いは小さい頃からなんとなくありました。年齢が上がるにつれてその気持ちが大きくなり、大学もそのイメージで選びました。就職のときも日本でグローバルな企業と言ったときに、僕の中ではソニーしか思いつかなかったんですね。世界で活躍したいという夢を持ってソニーに入りました。
今はどのようなお仕事をされていますか。
僕たちがやっているのは、日本を代表するグローバルカンパニーが、全世界から優秀な人材を新卒で採用するというビジネスのサポートをすることです。例えば、就職活動のイベントを開いたりキャリアカウンセリングをしたりしています。というのは、ソニーにいた時代に一番感じていたのは、世界の人材レベルの高さだったんです。エンジニアリングは日本も強いのですが、経営企画やマーケットなどの分野のプロフェッショナリズムのレベルの高さというのは、毎回完敗ですよね。とにかくすごい人をたくさん見たので、こういう人たちを日本のグローバル企業の本社に集めたいと思いました。世界のグローバルスタンダードと日本の働き方は真逆なので、求職中の外国人学生には徹底して伝えています。今世界30カ国以上700大学と連携が取れていて、リサーチをしながら世界中のネットワークを作っています。人材業界はもともとドメスティックな産業でしたが、全世界をシェアに入れればまったく違うマーケットになると思いました。これはやっていてわくわくするし、国際交流にもなるので、インパクトのある新しいビジネスモデルだと思っています。今は外国人に特化するのをやめて、世界の優秀層を扱う会社というのを目指しています。
外国人の方と仕事をする上で心がけていることはありますか。
まず一つは日本人だろうが外国人だろうが、まったく同じ扱いをするということです。そして、あまりにも日本的になってもいけないので、なるべくグローバルスタンダードにマッチした形に持っていく、というこの二つですね。外国人に気を遣いすぎた待遇をしてしまうと逆に日本人社員のほうに失礼になってしまうということもありますよね。会社には本当にいろんな人がいますからね。会社の設立当初もアルバイトスタッフとして留学生を雇いました。ビジネスを立ち上げるために知能を貸してほしいと呼び掛けたらすごい数が集まったんですよ。外国人のためのビジネスをやるんだったら、外国人が周りにいて、彼らの意見を常に聞いて、外国人と一緒に考える外国人向けのビジネスというのを僕は意識していました。

日本の新卒は世界一ゆるい。新卒の学生もまだまだ未熟

日本人学生が内向きだと言われていますが、それについてはどのようにお考えですか。
日本人学生全体を見たら、内向き志向がやや上がっているかもしれません。でも僕が付き合っている日本を代表するような企業に入る学生たちにそのような傾向はまったく感じません。僕が毎日接している日本を背負うような学生にその内向き志向というのが強まっているともまったく思っていません。全員がグローバルになる必要はないですから、世界に飛び出していくトップ層に関しては、そのような意識は全然生まれていないと思いますね。そして、内向き志向だと言われているのは学生のせいではなく、日本の企業、社会の責任だと思うんです。日本の古い企業体制や制度が逆に日本の学生に悪影響を与えていると僕は思っています。一括採用をなくしたら、留学する人も増えますよね。そして、海外のようにインターンシップを経験してお互いがマッチングすると採用されるという直結型の採用ができたら、日本でも1dayばかりではなく長期のインターンシップが増えますよね。日本学生の内向きよりも日本のプレゼンスの低下のほうがはるかに悪影響だと思っています。
柴崎さんには今の大学生はどのように映っていますか。
これに関して言えるのはまず日本人学生と世界の学生との比較ですね。世界中の学生を見てきた中で、日本は圧倒的に競争がゆるいです。これは勉強に限らずあらゆることにおいてです。要するに日本の新卒というのは世界一ゆるいんですよ。日本の就職活動が社会問題になっていますが、内定率の低さは世界一ゆるいです。国中をあげて新卒採用をやる国は日本以外ないですよ。例えば韓国の新卒は転職組とも闘うので、学生が勝てるわけがないですよね。日本は一括採用があるから実際はものすごく楽だし、長期採用の文化なので、採る数もものすごく多い。しかし、グローバルスタンダードは正反対で、海外だとトップ層の新卒が最初に入った会社にいるのは平均で3年間なんです。海外でトップ企業に入るためには能力が問われるので、みんな専攻がかなり就職に直結するし、インターンシップも半年から1年は必ずやっています。彼らはビジネスの世界で自分がどう活躍できるかとか将来のビジョンとか全部がはっきりしています。日本でそういうことを考えている人は皆無に近いですよね。常にプレッシャー下に置かれながら一社会人になるための鍛錬がされている海外のトップ人材と勝負していくのは大変です。だからいろんな面で日本の大学4年生というのは世界の中で未熟な部分が多いですね。

大学時代の過ごし方によって将来に対する意識が変わる

将来世界と闘っていくために、学生時代にやっておくべきことは何だと思いますか。
僕がいつも言っているのは、アジアのトップスクールへの留学です。アメリカに留学に行く人はまだ多いと思いますが、語学留学プラスアルファというのが多いですよね。もちろん欧米の学生と交流することも素晴らしいことですが、ビジネスのマーケットはこれから完全にアジアだし、アジアの人材と触れるというのはビジネスの中ではものすごく価値があります。僕はそういう観点でお勧めしています。トップスクールだとやはりそれなりの人材がいて、その国のリーダーになる人がいるので、国によって強い産業の大学や大学院に行くのは面白いと思います。あとは月並みですが、学生時代に発展途上国を旅してみることですね。最後にもう一つは、企業での就業経験ですね。夏休み1カ月くらいを利用して企業の長期インターンシップに挑戦して、自分のビジネスセンスを早いうちに確認しておくということは大事な作業だと思います。そうすると将来の自分のキャリアと残りの大学生活をすごくリンクさせて活動できるんです。課外活動を通して意識が変わってくるはずです。そして、やはり大学や企業がそういう環境を与えないといけないとは思いますね。
柴崎さんにとっての「世界に通用する高度人材」とは何ですか。
世界のトップを目指す人だと思っています。トップというのはいろんな意味がありますが、とにかく高みを目指すということですね。こういう人材がこれから求められると思います。トップに行くという思いとその思いの強さ、これが一番大事だと思います。どんなに優秀でも心が弱い人は上には行けないですからね。心が強い人は努力をするので、必ず上に行きます。僕が今まで出会った中で、優秀だなと思った学生は例外なく強い野心を持っているんですよね。「僕はこんな感じでいいんです」という人は一人もいない。彼らは、こうやって自分の国を、世界を変えたい、というような大きな野心や想いがあります。そして、言語だけができる人がグローバル人材ではないですよね。英語ができるというのはもちろん必須にはなりますが、言語ができることとグローバル人材とは別です。やはり大事なのは想いで、骨太で気持が強い人が評価されます。
フォースバレー・コンシェルジュ株式会社
http://www.4th-valley.com/
編集後記

例年より少し遅れて今年度の就職活動も本格的にスタートしました。就職活動の時期になって初めて働くことについて考える学生が多い中、社会との繋がりを意識し、自分のキャリアを常に考えながら学生時代を過ごしてほしいという柴崎さんのメッセージが心に残りました。目的を持って長期のインターンシップを経験することももちろんそうですが、学生のうちに社会人と触れる機会を増やしたり、行動範囲を広げたりすることで、社会の仕組みを知るきっかけにもなるのではないでしょうか。今回のインタビューを通して、日本と海外との就職活動のあり方の違いだけでなく、学生の就職に対する意識の違いを実感し、身が引き締まる思いがしました。

陸 欣(国際教養学部4年)