早大生のグローバル意識調査アンケート分析レポート

【2012年5月9日公開】

PDF版はこちら

アンケート概要

社会的に増加していると言われる内向き志向の若者、その傾向は早大生にも表れるのだろうか?!
最近の若者は内向き志向、つまり海外旅行や海外勤務を望まない学生が増えてきている、と言われている。今回、ICCリサーチ・プロジェクトでは、早大生にも内向き志向は広がっているのか、それとも逆に外向き志向、つまりグローバルに活躍したいと考える早大生が多いのか、という早大生のグローバル意識に関する一般的傾向を調査するために、各学術院(学部と大学院を一括したもの)ごとに履修者数100名程度の授業を複数ピックアップ。それらを履修する学生に協力してもらい、約7割の回収率でアンケートを回収することに成功した。以下、アンケート結果をぜひともご覧いただきたい。
調査期間:2011年度秋学期
総回収数:769
有効回答数:698

アンケート内訳

各学術院(学部+大学院)別の内訳
学年ごとの内訳
性別ごとの内訳
  • ※回答数:696

ページのトップへ戻る

基礎データ

Q1.これまでの海外経験を選んでください(複数選択可)
Q2.これから学生時代にどんな海外経験を積みたいですか(複数選択可)
Q3.学生時代の海外滞在希望期間(トータル)はどのぐらいですか(複数回ある場合は合計して)
  • ※回答数:579

Q4.海外に滞在した(い)理由は何ですか(ウエイトの大きい理由を上位から最大3つ選択)
Q5.海外に滞在して得られたことは何ですか(ウエイトの大きい理由を上位から最大3つ選択)
Q6.(Q2で”予定なし”と回答した人)理由は何ですか(ウエイトの大きい理由を上位から最大3つ選択)
Q7.大学生活においてどの程度英語を勉強していますか
  • ※回答数:690

Q8.大学生活においてどの程度英語を第二外国語を勉強していますか
  • ※回答数:481

Q9.将来、海外で働きたいと思いますか。近いものを選んでください
  • ※回答数:690

Q10.(Q9で”働きたい”と回答した人)海外で働く場合、どの程度の期間が適当だと思いますか
  • ※回答数:579

Q11.(Q9で”働きたい”と回答した人)どのような組織で働きたいですか(希望する選択肢を上位から最大3つ選択)
Q12.(Q9で”働きたい”と回答した人)海外で働きたい理由として当てはまるものを選んでください(ウエイトの大きい理由を上位から最大3つ選択)
Q13.(Q9で”働きたい”と回答した人)以下の地域で、それぞれどの程度働いてみたいと思いますか
(1)先進国
  • ※回答数:462

(2)新興国
  • ※回答数:460

(3)途上国
  • ※回答数:458

Q14.(Q9で”働きたくない”と回答した人)働きたくない理由として当てはまるものを選んでください(ウエイトの大きい理由を上位から最大3つ選択)
Q15.もし海外赴任を命じられたら、どうしますか?
  • ※回答数:677

Q16.早稲田に在籍する留学生との交流について
(1)留学生とどれくらいの頻度で交流していますか
  • ※回答数:683

(2)留学生の友達とどうやって知り合いましたか(複数回答可)
  • ※回答数:487

(3)在学中、これまでに参加したことがあるものはありますか(複数回答可)
  • ※回答数:146

ページのトップへ戻る

先行研究

学校法人産業能率大学「2010年7月第4回新入社員のグローバル意識調査」との比較
今回、ICCリサーチ・プロジェクトが行ったアンケートは、学校法人産業能率大学が2010年7月に発表した調査結果を元に作成した。そのため、質問内容が同様の設問項目も複数盛り込まれている。先行研究である産業能率大学の調査は、2010年4月に新卒採用された新入社員を対象としており、サンプル数は400である。本プロジェクトが対象としたのは早大生のみであり、サンプル数は698。その結果にどのような違いがあるのか、早大生のグローバル意識には日本の新入社員一般と比較してどのような傾向があるのか、以下にまとめた調査結果をご覧いただきたい。
海外で働きたいと思うか?
  • 産業能率大学データ

  • ICCリサーチ・プロジェクトデータ

産業能率大学データでは、海外で働きたいとは思わない(紫)という回答が約半数の49%であるのに対して、同様の回答をした早大生は30%にとどまった。このデータから世間一般の新入社員と比較して、若干ではあるが早大生の方が将来海外で働いてみたいと考えている、またグローバル意識が高まっている、ということが読み取れる。
<地域別>海外で働きたいと思うか?
  • 産業能率大学データ

  • ICCリサーチ・プロジェクトデータ

  • ICCリサーチ・プロジェクトデータ(働きたくない204人を加えた統計)

いずれの地域で比較しても早大生の方が世間一般の新入社員よりもグローバル意識が著しく高いことが読み取れる。ICCデータの(当該地域で)働きたいと思う、どちらかといえば働きたいと思う、という2つの回答の合計(オレンジ)を見ると、先進国と新興国ではともに約9割、また途上国においても約半数の早大生が働きたいと考えていることがわかった。世間一般の新入社員が、新興国と途上国での勤務は避けたい傾向にある中、早大生の海外進出に向けた積極的な姿勢は特筆に値するであろう。
<期間別>海外で働きたいと思うか?
このデータには特筆すべき点はない。産業能率大学データ、本プロジェクトデータともに1年以上3年未満が過半数に近い割合を占めているが、結婚や出産、永住する国など今後の人生プランを考慮したうえでの結果であろう。その点で世間一般の新入社員と早大生の間に違いはなく、ともに海外赴任した国に永住を望むというよりは、短期間の駐在経験を求めていることが読み取れる。
学校法人産業能率大学「2010年7月第4回新入社員のグローバル意識調査」
http://www.sanno.ac.jp/research/pdf/global2010.pdf

ページのトップへ戻る

注目データ

学生時代の海外滞在期間と将来海外勤務を希望することの関係性

学生時代の海外滞在期間が長くなればなるほど、将来海外で働きたいと考える人が増えていることがわかる。学生時代に2年以上海外で過ごした人の9割以上が海外勤務を望む中、1ヶ月未満の海外滞在で学生時代を終えた人の3割超が将来海外勤務を望まない、という結果になった。旅行でも留学でも何でもよいが、時間のある学生時代にとりあえず1ヶ月以上日本を出てみることが、自分の世界を広げることにつながるのかもしれない。

残りの学生時代で積んでおきたい海外経験と、将来海外勤務を強く希望することの関係性

ワーキングホリデー、ボランティア、インターンシップ、留学、ひとり旅という海外生活において自分で責任を持って行動しなければならない経験(オレンジ)と、ホームステイ、ゼミ旅行、パッケージツアー、友人との旅行、家族旅行という比較的他人におまかせでも大丈夫な海外経験(ブルー)の間できれいに分かれた形だ。前者の経験を希望する人の方が後者よりも、どんな国・地域でもいいからとにかく海外で働きたい、強く海外勤務を希望しているということがわかる。日本を出るにしても、前者の経験を積んだ方が、より強い自立心や海外志向を身に付けられるようだ。

将来強く海外勤務を希望する人と留学生との交流頻度の関係性

上図は、将来どんな国・地域でもいいからとにかく海外で働きたいという、強い海外志向を持つ人がどれだけ留学生と交流しているかを表している。強い海外志向を持つ人でも、毎日留学生と交流できているのは5%強。そして、ほとんど交流できていない人が半数以上いることがわかる。学内のグローバル化を目指す早稲田大学の目標を達成できる日は、まだ遠いことを如実に表していると言えるだろう。

海外ボランティア経験と強い海外志向性の関係性

先進国や新興国なら行ってもいいが、途上国は行きたくないという人が多い中、注目すべきデータである。これまでに海外ボランティアに参加した経験を持つ人の実に59.1%が途上国でも積極的に働きたい、と回答している。他の経験が30%程度にとどまる中、これは特筆に値するデータである。海外ボランティアは、途上国の開発援助などに携わる経験が主なのであろう。実際に途上国に行ってみると、案外働いていけるという実感を持つことが出来るのかもしれない。百聞は一見に如かず、である。幸いなことに早稲田大学では、WAVOCなどの大学機関が、国内外問わずボランティアに参加できるプロジェクトや、途上国を訪問するプログラムをたくさん提供している。手っ取り早く海外志向やグローバルマインドを身に付けたい学生は、一度利用してみるのもいいかもしれない。

能力(語学力)に自信がないから海外で働きたくない人は、自分を磨く努力をしているか
上図は、語学力に自信がないから将来海外で働きたくない、と回答した人が、大学生活でどの程度英語の勉強に力を入れているか、を表している。勉強を怠っている人が大多数であることは一目瞭然である。自分の能力に自信がないから海外勤務を希望しない、かといって勉強するわけでもない、これは世間一般で言う内向き志向ということになるだろう。自信がないなら勉強する、早稲田大学にはその環境が揃っているのだから。

ページのトップへ戻る

編集後記

今回のICCリサーチ・プロジェクト「グローバルに活躍する人材とは何か」はそもそも、「現代日本の若者に内向き志向が広がっている!」というニュースから始動しました。若者の内向き志向性は早大生の間にも広がっているのか、外向き志向性を身に付けるには学生時代に何をすべきなのか、また外向き志向性の先にある「グローバル人材」を目指すために必要な能力や資質は何であるのか・・・。上記の事項を調査するための手段として、「学内アンケート」と「校友インタビュー」の2点が挙がりました。調査を進めるうちに、日本の若者が内向き志向であるという主張の根拠が産業能率大学の調査結果にあるということがわかり、それでは同様のアンケートを早大生に向けて実施してみようということに。そして早大教授複数名の方々と、その授業を履修する早大生の多大な協力のもと、今回の結果発表につなげることができました。ご協力いただいた皆様には、この場を借りて改めて御礼申し上げます。結果は本記事の通りでありますが、早大生に関しては内向き志向性は当てはまらないようです。日本の未来を担う早大生は、21世紀の成長エンジンとなるであろう新興国や途上国にも積極的に進出していく気持ちがあり、また学生時代から留学や海外ボランティア、インターンシップなどたくさんの機会に挑戦していることが今回明らかになりました。まだ挑戦していない低学年の後輩たちや未来の早大生にも今回の調査結果を参考にして、学生時代からどんどん海外に飛び出してほしいと思います。ちなみに、当初の予定であった「校友インタビュー」は、校友のみでない「グローバル人材」にスポットを当てたインタビュー企画となりました。絶賛更新中ですので、そちらもぜひご一読ください。

二瓶 篤(政治経済学部5年)